こんなところに開成

Vol.2 サンドマット加工のはじまりと採用例

ここでは、「こんなところに開成」と題して、開成工業の技術が採用された事例の紹介や、新しい活用方法を提案していくコーナーです。

第一弾では、ゼロハリバートンなどに採用された当社のヘアラインを紹介いたしました。今回は、当社のもう一つの主軸事業となっているサンドマット加工について、生産開始当初から現代の採用例について紹介したいと思います。

 

まずは、マット状フィルムが使用されている例として、ラベルやステッカー、シールが分かりやすいと思います。例えば、パソコンにはCPUやWindowsのバージョンを示すラベルが貼ってありますね。ストーブやアイロンに「危険」などと貼られたラベルを見かけたこともあると思います。お総菜やお刺身のパックに生産地や内容量などが記載されてあるのもラベルです。こうして色々と周囲を見渡してみると、家電製品や化粧品、文房具、食品パッケージ等々、本当に沢山のラベルが使われていることが分かると思います。

この様なラベルの中で、サンドマット加工されたフィルムが使用されおり、その一番の役割は「つや消し感」にあります。光沢のあるツヤツヤなラベルとは異なり、指紋が目立ちにくく、上品で落ち着きがあり、主張しすぎないという特徴から、家電やOA機器などの長期間使用する耐久品向けに採用されることが多い様です。

◆加工方法

▲サンドマット加工に使用する研磨材

マットフィルムは様々な加工方法があり、代表的なものとしては、コーティング、練り込み、エッチング処理などがあります。その中でも、サンドマットフィルムは、物理的処理にあたるサンドブラスト法によって加工されており、これは日本独自に発展してきたロールtoロールのマットフィルムの加工技術です。簡単にいうと、粒形のそろった珪砂をフィルムに投射することで、表面が凸凹になりマット調のフィルムができあがるという仕組みです。

◆サンドマット加工のはじまり

弊社のサンドマット加工は、製造部門であるパナック工業開成工場創業から約3年後の1962年(昭和37年)に生産を開始しました。世の中はちょうどプラスチックブームで、多くの物が海外から輸入されていた時代です。

ちょうどこの頃から日本国内でもPETフィルムの生産が始まり、これまで紙に書かれていた設計・製図材料が、一気にプラスチックフィルムに置き換わる流れが起きたのです。表面が平滑なPETフィルムには直接鉛筆やボールペンで書くことができないため、表面に微細な凹凸を付ける加工技術の確立が出来たことで、いよいよサンドマットフィルムの出番となります。建物や乗り物の設計・製図材料が紙からサンドマットフィルムに替わる中、特に造船用設計図は原寸でつくるためたくさんの材料を必要としたようで、生産が追い付かないほどの時もありました。

▲サンドブラストマシーン 1号機

 

 

こうして設計・製図材料として生産を開始したサンドマット加工は、現在、金銀糸やユニホームのマーキングシート、電子部材製造工程紙、工業用剥離フィルム、そして冒頭で紹介したラベルなど幅広く採用頂くまでに成長して参りました。

▲サンドマットフィルムの用途例

▲サンドマットフィルムの加工前(左)と加工後(右)

 

時代の変化によって、様々な用途に使用されてきた弊社のサンドマットフィルムは、今後も新たな価値を提供していくべく、積極的に試作や研究開発を行って参ります。今後とも、開成工業のサンドマットフィルムにご期待ください!

 

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